2012年9月27日木曜日

(1)三国時代の魏の王弼の注釈による『老子』第一章の翻訳です(その1)



こんにちは。最近会員になりました白川 玄齋です。よろしくお願いいたします。

私はずっと漢文を学んでいまして、その後に大阪天満宮にある漢詩の会の「浪速菅廟吟社」の師匠に勧誘されて、漢詩も学んでいます。漢詩は六年ほど、漢文は二十年になります。

自由律も今年から本格的に挑戦しております。私が所属する自由律俳句の集団「鉄塊」のメンバーの一人である天坂 寝覚さんが「アぽろん」に所属していることを知り、 #アぽろん タグを覗いてみますと、とても楽しそうでしたので入会しました。今後ともよろしくお願いいたします。

そんな私がずっと読んできた『老子』を訳してみようと思い、今年の春から訳し始めました。現在のところ十一章までを訳して、ヤフーブログに載せています。ブログの URL は以下の通りです。

「玄齋詩歌日誌」
http://blogs.yahoo.co.jp/syou_gensai

そして私は現在入院中で、心境の変化もあり、改めて『老子』の昔ながらの訳を見直してみるために、三国時代の魏の老荘の学者である王弼(おうひつ)の注釈をもとに訳し直してみることにしました。

その訳はアメブロに掲載されていますが、「アぽろん」のブログにも同時に連載していきます。こちらもよろしくお願いいたします。
アメブロの URL は以下の通りです。

「白川 玄齋の書庫」

http://ameblo.jp/syou-gensai/


以下は今回私が書いたブログ記事です。 mixi でつぶやいたものをアメブロにまとめました。次回からは twitter のツイートの後に掲載していきます。


(1)三国時代の魏の王弼の注釈による『老子』第一章の翻訳です(その1)
http://ameblo.jp/syou-gensai/entry-11363936319.html


こんにちは。今日から『老子』第一章を三国時代の魏の学者の王弼(おうひつ)の注釈によって訳し直してみます。

(以前訳したものは以下の Yahoo!ブログにあります)

http://blogs.yahoo.co.jp/syou_gensai/66025711.html


(一)『老子』の第一章の原文を少しずつ解説していきます。まず最初の文、「道可道、非常道、名可名、非常名」は、書き下し文では「道の道とすべきは常(つね)の道に非(あら)ず、名の名づくべきは常の名に非ず」となります。まずこれを直訳しますと、


 (二)「『これが道だ』というような道は、常に通用する道ではなく、『これが名前だ』というような名前は、常に通用する名前ではないのです」となります。ここまではすぐできるのですが、「なぜ?」という疑問に全く答えていません。ここで注釈が必要となるのです。


 (三)まず「道(みち)」とは何かと言いますと、「道理(どうり)」のことです。道理とはいろんなところで必要となる「生きる知恵」のことです。政治の道理、詩歌の道理、武道の道理、社会人の道理、一般的な生活の道理などです。どれも学習や各人の工夫によって、きちんと身に付くものです。


 (四)次に「名(な)」とは、あらゆる物につけられた名前のことで、ここでは名づけられた物自体を指しています。ここで「『これが道だ』というような道」、『これが名前だ』というような名前」は、王弼の注では「指事造形」とあります。二文字ずつに分けて解説します。


 (五)まず「指事」、「事を指す」とは、「見たら知ることができ、推測して知ったときに頭の中に思い浮かべてそれをイメージできること」です。世の中のさまざまな現象を指して言います。


 (六)次に、「造形(ぞうけい)」の「造」は「為」、つまり「作る」という意味です。「形」は『易経』の易の哲学を論じた「繋辞伝(けいじでん)」の一節では「在天成象、在地成形」、つまり「天に在りては象(しょう)と成り、地に在りては形と成る」とあります。この部分は、


 (七)「象(しょう)」とはつまり「日月星辰(じつげつせいしん)」、日や月や星々のような空の天体を指し、「形」とは「山川草木(さんせんそうもく)」、つまり山や川や草木のような、地球上のあらゆる物を指しています。


 (八)ここから「『これが道だ』というような道」、『これが名前だ』というような名前」とは、「人が見たり知ったりできるあらゆる現象や物事」の事を意味しています。こういうものは常に同じ姿をとどめていないために、あらゆる現象や物事は、一つの道理や名前で表すことはできない、ということです。


(今日はここまでです。その二に続きます)


                  白川 玄齋(なかぎり代理掲載)

2012年9月9日日曜日

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かくのごとく、自由律俳句を中心にかなりのスピンオフがあるのです。
これらは、なんだか怒られそうなものもありますが、会員さんたちは、絶妙なバランス感覚を持った「子供心を大切にする大人たち」なので、なんとかなっていると思います。

非会員さんが上記のタグをご使用なされる時は、その点を十分ご配慮くださいますよう、よろしくお願いいたします。

アぽろんの会則を今一度下記に掲載いたします。
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これらに抵触するようなことがあり、トラブルになりましても自己責任で処理してください。

よろしくね!

2012年9月1日土曜日

8/31 #オカルト自由律俳句 at #居酒屋くちばし


表題の件、とりあえず会話を除いて、取り急ぎ句として上げられたものをまとめておきますね。

本当は、会話やツッ込みがかなり面白かったのですが、何せものすごいツイート数だったので、手作業でまとめるのが難しいので、泣く泣く省きました。

時系列は、下から上です。

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天音いなり@日下部あまね @kusakabe_amane
憑かれたおかげで犬のおもちゃの良さが分かった


天音いなり@日下部あまね @kusakabe_amane
犬か狐に憑かれて早一か月


いかわだいき @aorin9o
今見て一番ぞっとするのはカレンダー


yamanobe @donsige
いつもあなたのうしろに細木数子がゐる


天坂寝覚 @sin_kaku
呼べば返事する写真の人

北大路京介 @princekyo
「 髪切ったら痛い 」


八紘 @open8doors
寝ている自分を見る自分


ちよ @ChiyoMie
旦那様が起きてらっしゃる 開けられぬ襖


おがさわら @OGA0531
死んだおばさんが夢に現れおいでおいで  ※母の実話


のぅてんき @no_tenkey
暗い部屋の鏡に白く浮き出てる


天坂寝覚 @sin_kaku
母親の味がする肉を食う


フロヤマ @furoyama
フロントガラスには無数の手の跡 ※実話らしい


フロヤマ @furoyama
車内の足元から手が ※実話らしい


タケウマ @goto575
キャラメルマキアート脳漿の色をして 見たことないけどね♪


日下 昊 @sola_Dante
トーストにまで現れた例のアイツw


ヒロミ @somnambulant06
私の後を右から左に追う、猫の視線


ぴい @KinutanukiPTARO
「お札が剥がれ落ちた」


日下 昊 @sola_Dante
居酒屋くちばしに群れる幽霊の列


ヒロミ @somnambulant06
男の背中に「おまえには渡さない」とミミズ腫れ


ぴい @KinutanukiPTARO
「部屋の片隅指差して泣くな子ども」


フロヤマ @furoyama
架空の男の口笛が聞こえる ※太宰治『葉桜と魔笛』より


天坂寝覚 @sin_kaku
次は逃げられない夢が覚めた


日下 昊 @sola_Dante
貞子が愛しくなる程・・・


も り せ い ち る @morise616
何だろう? お腹の中を熱い何かが動き回る


IZU @m2o_
みんな火事に夢中ズボンを降ろす


おがさわら @OGA0531
前の会社潰れた直後金縛りにあって目を開けたら社長の超デッカい顔浮かんでた ※実話 ちなみに社長は生きてますw 生霊だったんかな…


フロヤマ @furoyama
「夢と違うじゃないか」と言われた ※都市伝説より


のぅてんき @no_tenkey
点いてる間お経が聞こえる線香花火 


かずみん @h_jyoko
私の金縛り中、ガサガサと机の上を物色したあなた。探し物は見つかりましたか?


Blue Mountain @mnea2b
エスカレーターのみんな足がない


北大路京介 @princekyo
「 favるたびに短くなる寿命 」 


IZU @m2o_
あなたを見続ける天井裏


おがさわら @OGA0531
母が狂った夢を繰り返し見る ※実話 あ、これ、 #夢を見た の方がいいかしら…


?もぉい衣都? @mohi_tautou
月明かりに照らされた女の顔が浮かぶ


ちよ @ChiyoMie
君を刻んで緑と和えたらこんなにデリシャス http://pic.twitter.com/YsBxlN0J
 画像を表示する

涙 @flowtears
退院する時は誰もが死体


天坂寝覚 @sin_kaku
私はもう死んでいるらしい手相


日下 昊 @sola_Dante
蛍の光が聞こえてきそうな居酒屋


かずみん @h_jyoko
閉じた瞼の裏に浮かび上がったものがあなたの


涙 @flowtears
今夜逆ナンされた俺


ゆいゆいふぇん @ShimizuTakuro
今日は歯ブラシが妙に温かい


フロヤマ @furoyama
合格発表前夜夢の中には亡き祖父の笑顔 ※実話もちろん合格!


タケウマ @goto575
少しずつ落ちてくる居酒屋の天井


うぐいす @uguisu_asobo08
A面とB面の間で名前を呼ばれた


日下 昊 @sola_Dante
貴方が昨日と違う顔


おがさわら @OGA0531
美容院でシャンプー中うとうとしてると死人が話しかけてくる ※実話


北大路京介 @princekyo
「 胸のある幽霊 胸のない幽霊 」


taraotter @taraotter
銀歯がとれたところにナッツぎっしり


37cafe @37asasan
修学旅行の集合写真の後ろにカメラ目線のおじさん 実は、実話。


ちよ @ChiyoMie
口で蠢く 生でいただこう http://pic.twitter.com/zOKrEDW4

IZU @m2o_
暑ひ…刺したくなる顔のたくさん街に


涙 @flowtears
決して手放さない政権


水子 @Mizuko_San
無風で揺れる真夜中のブランコ


フロヤマ @furoyama
背中をツンツンと振り返れば誰もいない ※実話


日下 昊 @sola_Dante
私の撮る写真に無断で写り混むな!(実話)


原 沙良葉 @harasaraha
#オカルト自由律俳句 ←このタグが個人的にすごく面白い


日下 昊 @sola_Dante
知らない声で呼ばないで(実話)


涙 @flowtears
出会い系サイトで知り合った女


かずみん @h_jyoko
眠りに墜ちるその瞬間に、肉体から引き剥がされる


涙 @flowtears
Amazonばかりのカードの支払い明細


中川マルカ @C_Nakagawa
ひとりにしないでと縋りつつ 舌を出した満月の夜


おがさわら @OGA0531
金縛り中隣に寝そべってた誰かと会話した ※実話


のぅてんき @no_tenkey
100年前のあれは美味しかったわ そう 行灯の油 


フロヤマ @furoyama
見えない誰かに追いかけられた ※実話


おがさわら @OGA0531
着て出かけようとすると気持ち悪くなって倒れる古着の和服 ※実体験


天坂寝覚 @sin_kaku
エレベーターに棲んでいる


も り せ い ち る @morise616
こんな夜更けに カラスが悶絶している いや、ホント。


ヒロミ @somnambulant06
剥がされた爪でいっぱいの匣


北大路京介 @princekyo
「 階段昇って四階 また昇って四階 」


フロヤマ @furoyama
何かが車に乗っている気がする ※実話


涙 @flowtears
数えても今宵も足らぬ核燃料棒


北大路京介 @princekyo
「 マネキンが踊り出す婦人服売り場 」


日下 昊 @sola_Dante
合わせ鏡の13番目がよく見えない


のぅてんき @no_tenkey
月明かりで見た彼の腕みょうに毛深くね?


日下 昊 @sola_Dante
ししゃもを食べた夜ミジンコになる夢を見た


水子 @Mizuko_San
心中しましょ もしものときは 私が迎えにいきましょう


ぴい @KinutanukiPTARO
「すぐ後ろに小さな顔が」で萎える俺


津川智宏 @YRopa
文鳥の匂いのする甥っ子 


北大路京介 @princekyo
「 ヘリコプター、霊格の高い山へ 」


37cafe @37asasan
お母ちゃんの後ろに居る人誰?


局地戦用強襲型ネネカ @neneka_555
座敷奥くだんのははは今もおり


Blue Mountain @mnea2b
らあめんの淵にも指の潜みけり ※セルフパロディ失礼。定型だけど。本当にあった事件だけど。


局地戦用強襲型ネネカ @neneka_555
白き手が招く暗き土蔵の奥の奥


のぅてんき @no_tenkey
まだ終わらない宿題


タケウマ @goto575
トイレに紙がない マスター、トイレットペーパー取って~


ヒロミ @somnambulant06
玄関に置かれた枯れた花束の花言葉、「お迎えに来ました」


IZU @m2o_
お、お母さん?私の点滴に何を入れてるの?


北大路京介 @princekyo
「 15になったら人柱(ひとばした) 」


のぅてんき @no_tenkey
壁の漆喰崩れ落ちて出た何か 


天坂寝覚 @sin_kaku
明かりをつけるな


日下 昊 @sola_Dante
つまみのししゃもが喋った


ぴい @KinutanukiPTARO
「僕を食べて」を文字どおりに解釈する人たち


數濱まさみ @kazumasa4419fof
玄関戸に 赤い落書き △□△○□ △□△○□ 気付いてしまった 縦なら卒塔婆 △□△○□と 同じ赤に染む 妻の 爪 ※三連句です。


かずみん @h_jyoko
草いきれの中に潜むあたしの顔をした何か


水子 @Mizuko_San
排水口の長い長い黒髪


おがさわら @OGA0531
ふみきり最終電車去りあれ?向こうに上半身だけの…?


うぐいす @uguisu_asobo08
私がいない


フロヤマ @furoyama
コンヤキミニアエル


日下 昊 @sola_Dante
水瓶を覗くと誰かの顔


北大路京介 @princekyo
「 たかし君が半透明 」


中川マルカ @C_Nakagawa
縫合したはずなのに はみだした腸はためいて


おがさわら @OGA0531
真夜中にシャンプー目を開けると逆さまの女


タケウマ @goto575
マンゴーパッションティーフラペチーノ猿の脳みそ


日下 昊 @sola_Dante
誰も訪れない鬼門の戸を叩く音


天坂寝覚 @sin_kaku
犬が手を取ってきた


タケウマ @goto575
耳元で人面瘡が飲ませろと囁く


おがさわら @OGA0531
はる子聞きなさい母さんは出て行った…納戸は開けちゃダメだよ絶対ダメ


IZU @m2o_
私の脳に棲む姉はいつも私を悪く言ふ


フロヤマ @furoyama
靴箱を開けたら目が合った


うらら花 @nonoka57
ポストに入れようとしたら中から手を捕まれる


のぅてんき @no_tenkey
ブルームーン照らす水面から逆立つ二本の脚


なかぎり @sej_nakagiri
今宵の月と同じ大きさの顔が覗き込む窓


天坂寝覚 @sin_kaku
足音だけが来た


水子 @Mizuko_San
化けてでも会いたかった


ヒロミ @somnambulant06
月に誘われ窓際へ、ガラスに映る無数の手形


うぐいす @uguisu_asobo08
キスの後 口の中に舌が二枚


なかぎり @sej_nakagiri
杯あおったときに天井の顔と目が合う


フロヤマ @furoyama
玄関先うずくまる人がいる


うらら花 @nonoka57
歩きすぎて足が棒のような枯れ木になった


ヒロミ @somnambulant06
「後ろじゃないよ…」 振り向いたけど前向けず、今


北大路京介 @princekyo
「 目覚めたらいつも富士樹海 」


うぐいす @uguisu_asobo08
ブルームーンを横切る影と目が合う


水子 @Mizuko_San
十階の窓の向こうに人影


かずみん @h_jyoko
遠い葦原で私は白鷺になった 拷問中、心だけは自由


中川マルカ @C_Nakagawa
縫合するまえに 入れた指


IZU @m2o_
女王と審神者(さにわ)の通じて先の王を呪い殺した國だ


フロヤマ @furoyama
誰もいないのに手を振るのは何故か


北大路京介 @princekyo
「 草葉の陰からピーヒャラリ 」


日下 昊 @sola_Dante
反魂草が手招きする黄泉の野原


水子 @Mizuko_San
悪夢で会った君と再会


うぐいす @uguisu_asobo08
胸ポケットに仕込む針千本


中川マルカ @C_Nakagawa
滴るのは ぬらり 汗だけでいい


天坂寝覚 @sin_kaku
傷があのおんなの顔に似てきた


フロヤマ @furoyama
何かが浮かんでいる真夜中


ヒロミ @somnambulant06
血溜まりに映るブルームーン


水子 @Mizuko_San
貴方の背後に死ぬまで


津川智宏 @YRopa
なにかの血のジュース頼んだのだれ?!?


日下 昊 @sola_Dante
都市伝説は見ない気満々


も り せ い ち る @morise616
今『キャ?』って 女の子の叫び声がした


ヒロミ @somnambulant06
継ぎ接ぎだらけの顔が、にたりと笑う


も り せ い ち る @morise616
あの蛍光灯の瞬きが 入り口なんだよ


ヒロミ @somnambulant06
ブルームーンを血で染める


2012年8月17日金曜日

夏の自由「律」研究~自由律俳句について思うこと~


 俳句歴半年の自分が偉そうなことを書くのもどうかとは思うけれど、俳句、特に自由律に関して自分がわかっていないことは何かということについて、頭の中を整理するつもりで書いてみた。
 夏休みの宿題気分で。

1 自由律ということ
 自由律とは定型に収まらない自由なリズムであること。リズムについてはいろいろ考えることもあって、そこにこだわりすぎて定型よりも不自由だなぁなんて感じてしまうこともあった。
 おそらく「内在律」というものに対する理解が不足しているからだと思う。今は「定型からはみ出す」もの、その時に生まれるリズムとは何だろうということに関心があるけれど、いろいろ試してみては失敗を繰り返している。

2 自由律俳句は俳句である
 この定義を拒否する人がそれなりにいることは承知しているけれど、自由律俳句は俳句のありようの一つであって、俳句から独立した別ジャンルではないと考えている。
 そして定型と自由律を必要以上に分けて考えなくて良いのかなと思うようにもなった。

3 自由律短詩型はすべて「自由律俳句」なのか
 例えば、スゴつぶは10~25字程度の口語というルールがあるだけで俳句であるかどうかは問題としていないけれど、その条件で集まった句をすべて自由律俳句と呼ぶのは少々無理があるような気がする。
 スゴつぶでは「自由律句」という言い方をしているが、自由律句という言い方には「自由律俳句を含めた自由律短詩型いろいろ」というニュアンスが含まれているように感じる。
 スゴつぶ以外で使われている「自由律句」も同様かどうかはわからないけれど、自由律俳句とは区別する意図はあるのではないだろうか。
 川柳や短歌にも自由律があることから考えても、自由律の短詩型がすべて「自由律俳句」というわけではないだろうと考えている。

4 俳句とは何か
 自由律俳句が俳句の一ジャンルであって自由律短詩型すべてが自由律俳句ではないとすれば、必然的に「俳句とは何か」という命題にぶち当たる。
 その答えを探し続けているけれど明確な答えは見つからない。
 韻文であることというのはひとつの手がかりだと思うけれどそれだけでは不十分だろう。
 自由律俳句とは何かということもよくわかっていないくせに、定型と自由律を跨いで「俳句とは何か」と考えることは無謀なことかもしれないけれど。

 ということで、わからないことだらけではあるし、ここに書いたことの中には多くの勘違いや間違いがあるだろうけれど、いつかこれらのことに自分なりの答えが見つかったらいいなと思っている。
 ちなみに、定型と自由律の関係って、厳しい校則とそれを拡大解釈してはみ出そうとするせめぎ合いみたいだなんて思ったりもしている。

                               By かもせり(なかぎり代理投稿)

2012年8月14日火曜日

この夏のこと


 一度、母を抱き起こすと、それまで母に触れられるのも触れるのも猛烈な抵抗感があったことなど、驚くほどあっけなく解け流れた。

 存外、男とはそう言った、傍からみると実にくだらない呪いをかけられながら生きているものなのかもしれない。

 青年期からこっち、明確に母に触れた記憶は、父が急死し警察の霊安所で夜を明かすことになった遺骸から母を引き離すときに肩を抱いたとき以来だから、もうざっと20年は過ぎているだろう。
 霊安所は、本建屋の外の駐車場の片隅にあるコンクリート造りの陰気な建物だった。

 その母が、6月の半ばから身動きが取れなくなった。
 介護が必要になった。
 足や腕の関節に、ひどい痛みを感じているようで、腰が立たぬどころか、半身を起こすことも出来なくなった。

 本当に突然だった。
 その半月前まで、ひとりで電車に乗って横浜や近所に買い物などに、腰軽く行っていたのが、これといった表立った原因もなく、そんな状態になった。

 色々と病院で原因を探ったり、介護の認定処理をしたりとどうにもこうにもバタついた日々が続いた。
 そして今現在も、続いている。
 血液やレントゲン検査の結果、全身の骨にも内臓にも異常はなく、脳の精密検査の結果も歳相応の内容で、大きな問題はなかった。

 私は、堅気の勤め人を離れて久しい。
 ちょうど仕事の切り替わりの時期で、何とかこれらのことで駆けずり回る事には対応できたのだが、今もって次の仕事は確定していないこともあり、フトコロ具合もなかなかにスリリングな展開を見せている。

 今日まで、いろいろな人に力や知恵を借りながら、こまごまとしたヤマを乗り越えてきた。
 深夜、トイレまで這っていこうとする母に、どう介添えしてよいものか途方にくれながらも、わずか3mの距離を親子で1時間以上も四苦八苦したことや、15cmの段差が降りられずに最後はおぶったことや、服を着替えさせること、パンツ型おむつを取り替えること、背中を拭くこと、ズボンを上げること、座薬を入れること、水を飲ませること、抱き起こすこと、デイ・ケアへの体験入所に一日付き添うこと・・・。
 これらのことは、一度経験してしまえばそれほど苦痛ではなく、むしろ子供の面倒を見るような錯覚すら持つ。
 しかし、最後の最後は、タガの外れたように楽天的に開き直れてきたはずの母が、泣きながら生きる事を嘆く姿を眼にした時には、何より堪えた。

 先日、やっと介護認定がおりた。
 要介護4。
 MAXが5との事なので、それなりの重さのようだが、ちょうど認定のための審査に役所の方が訪問された7月初旬は、今から思えば一番ひどい時期だったような気がする。

 母も、私も、この新たな生活の形に慣れ始めてきたのかもしれない。
 当初は、叫ぶように訴えていた痛みも、最近はやや落ち着いているようだ。
 私が入れる、鎮痛剤の座薬の回数も減ってきている。

 同居しておきながら、ここには書きたくない諸々の事情で、母を「ひとりで生活させていた」私は、大きな減点をしてきたのだと思う。
 いまその減点の穴埋めをしなければならないようだ。
 どこがプラマイゼロなのかは分からないが、出来うる限り、黙々と、でも息を抜きながら、続けようと思う。

 本日やっとケア・マネージャーが決まり、デイ・ケアに週2回いく方針で事が動き出した。

 やっとひとつ片がついた。
 本格的な介護生活へのスタート準備が整った。

 これから先のことは、何ひとつ分からん。
 だが、『なるようにしかならんし、何とかなるだろう。』

 これは、幼いころから引っ込み思案で何かとウジウジしていた私が、母から言われ続けてきた言葉だ。
 なに、当節、介護生活は珍しいことではあるまい。
 私も母の血を濃く受け継いで、タガの外れたように楽天的に開き直れるのだ。

 ・・・きっと。


 これからの長期戦を前に、一度この2ヶ月を振り返って、ここに載せておく。
 心配ご無用。
 なぜなら私は、あの素敵に能天気で、素敵にアブノーマルな集団「アぽろん」の代表なのだ。

 かもめ(@YHhama)さん他、一部事情をお知らせした方々の励ましやご助言に、改めてお礼いたします。
 今後とも、よろしくお願いいたします。

 今後も、何も変わらない代表でい続けたいと思う。
 ・・・でもホントは、もう少し、しっかりしたほうがいいと思ってるのよ、ホントだよ。
 でもこればっかりはねぇぇ。。。


2012年7月29日日曜日

なかぎり 自由律俳句 2012年2月1日~2012年7月29日分 まとめ


睨まれて 野良猫に詫び

夏枯れの枇杷の葉 ざわついて14時半

夕焼けを追いかけて 半月

夕立ちがくる前に踏切を渡ろう

それぞれの思惑あって 我はひとりで

暑気押し分けて千葉行総武線代々木着

潰されたカナブンの背中 虹色

振り向かない友人を 角曲がるまで見送る

夏の子三人路地に横並びの笑顔

もう一句詠んで帳尻を合わせたい夜

煎餅かじるとラジオが聴けない

日輪聴きながら 眼を閉じている母

病院待合 蝶つがいの汚れぼんやり眺める

枕元で聴かせる 先代馬生「親子酒」

雨に煙った向こうに 赤白のクレーン

clammbonで夜に溶け込む

陽射し強く 風柔らかく

寒さ罵るまで180日

雷鳴一雨 粗品ほどの量

母ひとしきり嘆いたあとの寝息すかすか

落ちる陰くっきり濃くて 2012年7月17日13時

暗闇に溶ける方法が知りたい

気高くも神聖でもなくて我が仏塔

それぞれがイメージする仏塔ありて 夏は来ぬ

季節わきまえぬウグイスがなく竹林

「メシを食いなよ おっ母さん」

「崩し字の母の覚え書き 読みつつ整理」

「呟かない人を いつの間にか案ずる」

「切らぬ梅の枝 ヒュンヒュン」

「母のメモ 「玉ねぎだけの小さなオムライス 幸せ」」

胸騒ぎする赤黒い夜空

母の寝息に 耳すます午後

アゲハ 二匹のフォバリング

手土産のビール 自ら真っ先に飲む

鼻のしたに汗溜めた 友人来たる

親子連れの入道雲 立ち上がる

尊ぶは 月 星 友がら むかしの女

七夕を想う余裕がなくて

梅雨空の下 オレという名のクソッタレ

虚ろにきゅうり噛む母 パキリ ジャクジャク

力士の様な女 ただ一心に前を見て進む

夏物のスーツ ぺらぺら頼りない

思い出を作っているのだ 足をさする

母 不安気に 往診の意味を尋ねる

時間作って 秒針の音 数える

視線の先に タバコの空き箱 ひとつ

笑う猫に会いたくなる 夜

夜になって 月がしぼんだ

みたらし三つ分だけの 今日までの恩返し

なにも見ていない眼を見る

潮風に黙って吹かれる母が居る

敬語を使う母の気弱を叱る

赤ちゃんの脚 西日の中でなお生白く

木漏れ日 そよ風 そこに居るオレ (なにこれ?)

ひとしきり 鳥どもの営みを眺めて 立ち去る

鴨おっとりと 燕せわしなく

鴉どもの罵り合いを聞く池の端

燕の白い腹が 見えた瞬間

天然色で白黒写真見てる 老母

細切れの記憶を語る母に脈絡は不要

どの子の名前つぶやいてみようか 帰り道ぽつり

整然とならぶ光ばかりが疎ましくて

出せば出したで後悔する便り

秒針の音 畳の目に染み込む

あの時の別れ道に 今更気づく

あの子の細い声を思い出す夜

紫陽花の色がぼやける夕暮れ

初めて母の髪を梳った日

無駄に声の通る人がいる車両

親鴨 取舵 仔鴨 宜候

湖見つめながら ホームレス一服

声ばかりの雲雀にからかわれて渡る橋

発泡酒でもビールでも 同じ

池もに灯りが写り出したから 帰ろう

初夏の雀はスマート

燕の輪郭くっきりと 曇り空

水草群れて 静か

歩きながら 眠たくなった

不人情を極めて 猫の命日を忘れる

昨日命日だった猫を想う

雨の日に 老いゆく母が居る

久しぶりに出来た 魚の目

抱き起こした老母 我が子の様だった

太宰好きな子に 愛想つかせれる生き方

あの子がぽちぽち食べていた 松の実

彼がダメなら オレはどうすりゃ

恥多くても たまにいい事があるから厄介

ドタ靴みてえな車だな コンビニ駐車場

夜烏が アウアウと啼きやがる あの辺り

怒り こみ上げるほどの寒い車両

日陰が愛しい季節が来てた

じきコウモリがヒラつく 池の上

寝タバコで死んだ人の噂聞こえる 池のベンチ

カモ カモと 池の鴨呼ぶ 女の子ひとり

空 写生する女 池越しに眺めて

もう一匹 魚が跳ねたら帰ろう 夕暮れ前の河口

穏やかな曲など クソくらえと思う夜を歩く

スピカは青 若き日の残滓と勲章と

咲き遅れのツツジ一輪 小雨のなかで

句を詠む意味を 考える

怒りとか 哀しみとかを踏み抜くのに もうひと落ち

「座れる席まばらに 22時半」

子供等を 見守る公園の大樹が眠っている

公園の灯りに向う 坂を降りる

朝見ても 夜見ても暗い排水溝の奥

まばらに座れる席 22時半

私鉄駅中心に広がる 営みの灯り

空の青黒く 立木のさらに青黒く

「日々に死ね」とは 笑わせやがる

必要とされている自分 必要とされていない自分

人々の営みから 離れる

目を閉じて 雨宿りする猫どもを 思いやる

雨音聴くだけの時間 無駄と思う 不遜

シュワシュピリピリ あいつどうしているだろう

髪を刈ると 耳が風を切る

空 蹴り上げるように干されてる ズック

この空から雨が降るという 不思議

休日の朝を終わりの始まりと感じる不健全さ

街並みを見下ろしもせず 空も見上げずに 黙念と

いつの日も 誠実に立つ 高圧線鉄塔たち

名も顔も知らない奴らが つながって 夜が更けて

この一杯が 明日の朝を重くするのだが

濃淡の雲を通しても 月光

ホーム待合室の灯り 白々として

むっつりと座り込んでても 電車は夜をつっ走る

手放してしまった ヴィヨンの妻になれた人

塩ジャケの 腹の部分は朝飯の菜

「女のいない国に行ってみてぇ」と 言ってみてぇ

トウモロコシ 甘くなって 初夏

あの子 捨てたのか捨てられたのか 忘れた

遺すもの紡ぐもの 言葉ではなく 私自身の生

朧な雲の向こうには 月蝕があるのだから

月の輪郭がボヤけて 日曜20時

板塀の隙間から 生活がのぞく

その昔 子にゲンコくれた公園で苦笑い

港のはずれで 足裏を潮風にさらす

薮っ蚊の柱 突っ切って 公園

散歩する老犬は 斜めに歩いてる

アテがなさ過ぎて 途方に暮れる分かれ道

黒雲は まだ遠い空 ぐいぐい歩く

子ども等が 泣いて笑って まだ陽が高い

噴水の 水ちょろちょろと 申しわけ程度

腹に響く花火高々と 開港記念日

街々を 通り越して見る花火 遠く近く

急行の止まらぬ駅にある 人のいとなみ

竹笹の場所ばかりが あかるい緑で

三色の花 段々と丹精込めて

少し酔って 娘のアパート急襲して 不在

竹は竹として 誠実に伸び上がり

黄色い花が ゆれていました

手の届かないところに 桃色の花

薄曇り 微風 蔵のある家 風車

マンションのへりに居るカラス 大きく

公園でビールあおって見つける給水タンク

現世でいちばん 柔らかな場所は 土中

植込みの陰に 反吐ひと口分

緩く湾曲したホーム ゆっくり歩く金曜の夜

ハイロウズ「青春」聴きながら 知らない人ばかりの車両

側溝に 気早く死んだアゲハ 羽八分開いて

今晩飲む酒は 苦し辛し

ひとかかえの雲 ぽっかりと 身じろぎをする

いろいろな事 去来して なにひとつ残らず

芥子粒ほどの虫 床を這って 止まって 思案

耳元の甲本ヒロトに代弁させて 地下鉄で突っ走る

生白い脚にょきにょきと 初夏の車両

私とは 無縁な紫 シバザクラに陽射し

自分の亡骸を抱くように 眠る

すぐ明ける夜を 性懲りもなく 眠る

煙草の煙に なりたい自分 唾棄すべし

今日も生き抜いた 母が居て 我が家

抱き上げたい 遠い我が子の声 耳元に

不真面目に 真面目練りこんで 毎日

花鳥風月では 埋められない穴 ひとつ

今日は何が起きるか 窓に映る自分に聴く

「遠い日の 振り子の振幅 思い出して」

ないがしろにした春が 去り際に不意討ち

いじましく手酌でつぎ足す 明日は明日の事

「ご縁日 母に尋ねた 水中花」

水中花 幼い頃の夏夜店

同じ風 松はのそりと 柳ゆらゆらと

プリプリと進む水鳥の波紋 広がって

西陽受けて 池のさざ波 網の目模様

メダカも飼えぬ 自分がいて 夕暮れ前

風 押し出して 地下ホームに各駅停車

雪駄引きずって 紫の花の前

水中花 幼い頃の夏夜店

夏の日の無惨 溶け始めた水中花

「いつものご挨拶」 老母 公園の木を撫でて

ジャスミン あっという間に 無惨

もう少し歩くと 重苦しい家

地下鉄の排水溝だけ見ていた 20才の夜

不義理した人の駅 目を伏せて 気づかぬ振り

心など 軽くなるモノか 夏のはじめ

陰影のマダラを進み 地下鉄乗り入れ

寝ぼけたまま 夏空に出くわす

どの曲も そぐわない 夜道

思い出す事 薄曇りの夜に 投擲

ちぎり捨てる気持ちの 捨て場所を また探して

ありがとうに 積上げた意味 届け

どんな夢が 見られる夜か

さまざまな音 聴こえて 明日は雨

煙草 根もとまで吸う 日曜夜の悪あがき

石段に はみ出す松の幹をくぐって

始めての階段を登ってみる 夕暮れ

血圧測定 母の手首の 細く冷たく

ベランダで飼われている犬 右往左往

ジャスミンの香りにむせる 路地裏

この身のダルさは 夏の前触れ

重すぎる思い出を 捨てられずに 喘ぐ

昼寝をした日 夏の日

清らかな空気の中の 苦い現実

なぞった眉毛を 忘れよう 忘れまい

あの街も 寒い空気が満ちてるのか

冷たい夏の初めに お便りがくる

歯を食いしばって 送信しないメール

消息を聞いて 痛ましく 懐かしく

路地に転がる 青梅 点々

沼に沈んだような月 眺めて

朝と夜にしか 詠めない 生活

すげぇ難しそうな議論を 傍観

蛇口センサーに 無視される口惜しさ

助けて欲しい朝ばかり 来る

今宵 もてはやされぬ月に 語る

欠けはじめた月が 優しい

憂うつから 少し許された顔ばかりの地下鉄

夜の女王は月 おそらくは薄い唇

冷たい視線の月が ゆっくりと巡る

竹内浩三さんに葉書出したい この豊かさと貧さ

葬られぬ春を 踏み抜いて 夏

老いた春を 見殺しにして 夏を詠む

来る夏に気を取られて 月を忘れて

遠く橙色が横たわる 多摩川を渡る

この路地も 夏へと続く

残量17%の感性 初夏の西陽で補う

迂闊にも スーパーのビワで夏の近さを知る

軒打つ雨音の 潔さ

真っ白い ツツジ背にして 古老達が酔って笑う

八百万の神の裳裾 はためく様な 空

暗い公園 ハナミズキの白 ぷかぷか浮かんで

呑むには心細いポッケを探って 夕暮れ前の空

手首の脈動 気味悪く眺めて 春の夜

「あぁ いつか見た あの空と同じ」

「酔って詠んで台無し」

気伏せりは なまじしとしと降る雨にせい

いずれいつか死ぬ母が 寝床に向う 俺もまた

呑んでも なにも湧かず また呑んで オレは

苦や業を満杯にして 雨中を行く車両

思惑ばかりの街角から スカリとした空を見上げて

曲の合間 傘鳴らす雨音も間奏

春物のスカジャン 冬物のスカジャンに戻すバカひとり

冷たい風の路地で 間合い取る黒猫二匹

葉桜の味わいがわかってから 久しい

身の丈より 長い影を追って だらだら歩く

老母の忘れ物は 昔語りの備忘メモ

亡父譲りの 猫背で歩く 雲の下

あの垂れた雲の上にある 月の事を 想う

今読めるのは 柔らかな本だけ 棘の刺さった春の朝

戸部本町の静かな道に 鳩の惨殺体 ひとつ

月のない窓に 今日の終わりの 一本を吐く

月の見えない窓辺に 今日最後の一本を 吐き出す

暗雲を ズポリと抜けて 銀の月を見る

いずれご破算になるまでの ひとつの夜を眠る

寝床で読む 「単純幸福論」の変わらぬ優しさ

あの子の顎の線に似た いずれ満ちる月

老母の忘れ物は 昔語りの備忘メモ

暴れだすを聴きながら 夜道 「あぁ 神様 俺は」

「明日の事は知らん」 明日がすぐ来るのを知りながら うそぶく

身の丈より 長い影を追って だらだら歩く

我が死因は いずれになるかと ひっそり想う

酒なめながら 杜甫を読む 寒の戻り

生暖かい夜 久しぶりの酒を 少々

春嵐よ来い 次の季節への通過儀礼

母が 日向を向いて かき餅を食う

「百頭女」 あの子にあげたの忘れて探す

「諦めろ 朝だ」と 鴉 嘲笑う

ユキヤナギ ふつふつと泡立つ 三月の終り

欲しいのは ブコウスキーの血 数滴

俯いて歩く 喪服三人

本堂の甍越しに 立ちあがる青空

この不甲斐なさを 笑える日がくる

縫合5カ所 そりゃ痛いはず

質屋倉脇の紅梅 見飽きてたはずが もう満開

あの月を 見てから もう4年

水田に映る空 海に見たてたあの子は元気でいるか

微風によろけて苦笑 リハビリ散歩

思い出のは遠い時間ばかり

あのテールライト見送った 午後7時で真っ暗になる 街

夜の地方スーパー ひと気のないフロアの白々しい思い出

春の布団が 冷たい

墓所は 亡き者との待合せ場所

陽が落ちると 冷たい白の障子

ブロック塀の片隅 鴉の羽 一本

ノラ猫がチーズを怠惰に噛む

空どよもして 鴉 頭上を過ぎる

紅梅 枝を空に伸び上げて

リハビリだから 遠回りして あの路地

リハビリ散歩で行き当たる 紅白の梅 スズナリ

軽やかな 眠りの毛布が降りてくる 23時

焦りと諦めを小脇に抱えて 寝る

若いユキヤナギの枝 風にヒュとしなって

我が家とは こんな感じだったか 安心と厄介

動き過ぎて 少し出血

病棟に比べて 自宅の構造のなんと複雑な事か

この夜景も見納めだと思うと

カーテン越しに 街の灯りのコラージュ

春の雨 とふとふ 遠いビルが霞む

この雨を受けるつもりか 質屋倉脇の紅梅 五分咲きに

ぬくぬくと していそうな 雨の日の小動物の寝ぐら

クシャミして またまた のたうつ

見飽きた窓外 雨です しばらく眺めよう

窓のそばが ひゃっこい 雨だ

気が付けば 病室最古参

薬が効いてきた予感 文字と共に眠ろう

夏に読んだサガン 暑苦しくて

帰ったら観よう 「ジョゼと虎と魚たち」

シーツ交換 窓開けられたら 鴉の声しきりと

クシャミして のたうつ

面会予定なし 寝ようか 読もうか 痛がろうか

置き去りにされたように まだ付けているストラップ

夜明け時が いちばん寒い

質屋倉脇 フリカケの様に 三分咲きの紅梅

アスファルトついばむ鳥は 何を食うのか

縫い傷 引っ釣れて 忌々しくて

寝そびれて またビルの赤色灯の点滅を見る

ポツポツと 今日を終えるマンションの窓を眺めて

消灯放送 頓服を飲む21時

入院手引きに「社会復帰」の文字見て苦笑 暗たん

清潔 親切な病棟に 健康だけなし

検温 鈍痛 明日を思う事もなし

死んだ鳩を突つく鴉を見る 業はどちらに在るか (※)

出たら あの辺りで呑もう 窓越しの屋並み

病室の窓 下から上へかすめ飛ぶ 雀二羽

健やかなる者を 蝕む者としての 私

病棟 消灯 シンとして 寝息

カーテンで区切られただけの 我が家でひとり

あの子を重ねて見てる 要領の悪い看護助手

布団干す 陽の柔らかさ 千切れ雲

「寂寥」という字面 身に染みて さみしい

巻き付いた旗 身悶える 3月晴天午前11時

朝日浴びたビル 清潔 窓の向こう

吸ってすぐ後悔 丸3日ぶりの1本

病棟 ヒソヒソと 目覚めはじめる 午前5時50分

病床で聴く ラジオ深夜便のあまりにも似つかわしく

幼い日の語りのような ひらがなだけの老母からのメール

ゴソゴソと ひとごとじみた 部分麻酔

約束の場所 始めからなかったなんて 思いたくない

雄々しく未来が詠めぬものかと 苦笑い

なぞった眉の曲線 思い出す時があり 振り払う

あのね と言われた日 その先を聞けずに 5年

時刻時刻で 腹がへる 面白さ 哀しさ

ワイパーの音 ハンドル掴む横顔 硬くて侘しげで

マンホールの穴すべてから 指一本づつニュルっと (※)

あの街も 気温7度か 雨空か

消防団倉庫の赤灯 熟れた鬼灯

突き当りの廃屋から 異臭と手招き (※)

あの夜の神楽坂 霧雨でございました

思い出は 塗装の剥げた 積み木

体育倉庫 落武者 呵々大笑 (※)

泣いた日 笑った日 どちらが多いか

亡父ゆずりの猫背で歩く 雲のした

雷鳴の明け方に 死んだ猫が帰る (※)

月の満ち欠け 忘れるほどに自分を置き去り

月の満ち欠けも忘れるほどに 自分を置き去り

振り向いた顔が 狐 (※)

自分を置き去りにして 月の満ち欠けも忘れる

死んだ人ばかりの映画を観る アヴェ・マリア

びしょぬれで 過ごした一日

疎ましい毎日も 笑える時が どうぞどうぞ来ますように

疎ましい今日を笑える時が どうぞ来ますように

こころなし線香の香り 雨の都電荒川線

曇り空から夕暮れの変わり目 伏し目がちに 歩く

待つ人まばら 日曜午後のホーム 物憂げ

揺れる頭で雲上の月を思う キミはどうしてる 午前1時半

逃げ込んだ土蔵にも 市松人形 (※)

しかめ面で 譜面読む人 地下鉄座席

整った顔立ちの子が待つ 丸ノ内線東高円寺

ちいちゃいお婆ちゃんが トコトコ歩く 春はもうすぐ

屋並み睨みつけるように立つ ドア前の女

箱庭にしたいような街並みと 心と

私鉄沿線 もっさりと雲塊いくつも

酒を飲むのは楽しいか 死んだオヤジが皮肉に笑う (※)

モウ疲れましたと 夜空につぶやく

薮掻き分けて 山駆け下りる大女と目が合い 観念 (※)

酒 酒と 氷雨を浴びて歩く愚か者

なけなしの感性 封じ込めて 過ごした一日をオシマイにする

「くぐった修羅場の数が足りない」 そう思うけど、モウたくさんで御座います

広げた風呂敷で 何を包むか いっそ包まぬままが潔いか

何度も同じ駅にたどり着く 深夜の私鉄線路を 歩き続ける (※)

病院待合 国会中継 無音の茶番をぼんやり眺めて

わらじ編んだら しあわせになれるか

裏道を選んで歩いて 迷う

駄句 二千も吐けば 自分を消せるか

夜の不穏を思う スニーカー片方 朝の路地裏

棘が抜けて やっと穏やかに聴ける おおたか静流

「生まれ変わるなら無頼」 力んで笑う 半ヨゴレ

なんと詠んでも しっくりこない 一日

ほほ火照らせて歩いた 夜の浅草 伝法院通り

泣きながら ガード下の壁にもたれたのは もう14年前

「音楽が足りない」 そう思うのは 二度目

地下鉄出口 白濁の街も人も

何もない自分に 息を吹き込み膨らます帰り道

思い出す事 吐き出して 今は空っぽ

咲きかけの紅梅に 積もる雪は 小憎らしい

もう寝よう ひどい一日を終わらせるために もう寝てしまおう それで終わるなら

信仰心などカケラもなくても 合掌 亡くしたもの達の顔を思い浮かべて

大船観音 参道脇の竹林が鳴る

観音胎内 鐘の余韻消えるまで 合掌

枯れ枝越しの 観音の頬 ふっくら

連結器ガチャガチャ 行き先など心細いもの

何処にも行けないのではない 行ってみましょうと 小さく 跳ぶ

なじられる程の酒量ではなし こんなに寒い夜なのだからだから

寒風 首を切り裂く ノラよ 寝床は温かいか

「カーテンがめくれて 梅のつぼみが見えた」

「カーテンがめくれたら 紅梅のつぼみホロホロ」#自由律俳句

捨てにもいけない思い出す事 鬼怒川 隅田川

気がつけば 山手線ぐるり 鬼門筋ばかり 思い出すばかり

やる事を 次々すべて口にする隣席の女 (※)

「高田馬場で逢いましょう」 約束した女の唇の薄さ 冷たさ

「あの子だれ」 幼子が指差す奥座敷 (※)

屋根裏からの囁き 語り合う首 二つ (※)

カーテンがめくれて 梅のつぼみが見えた

そしてまた 野毛で呑み 黒猫は喰う

また 黄金町から

山中廃寺 見る人のない鬼火 三つ (※)

絵が描ければ 楽器が出来れば 寂しくなければ

「惜別」とは 整理がつかない宙ぶらりん

北関東の広い空の 曇ったり晴れたりを 見上げているか

あの時吐いた白い息二人分 今どの辺か

ウメが先か オレが先か なにを競うか

「メメント モリ」と哭く鳥たちに囲まれて (※)

もう酒が呑みたい やりたいことが出来ない しない

廃屋の天袋 ヒトがいるわけないと思いたいが (※)

「ストッキングには凝るの」 つぶやかれた アメ横ガード下

水滴で曇った窓の向こうの顔 薄笑い (※)

自堕落とズボラと無頼を言い訳にして フテ寝

寝返りを打つ亡骸を 固まって見る通夜の守 (※)

黙念と待つ 当駅始発

アタマがにごりきっていて もうイケマセン

太宰がくれたモノ 奪ったものモノ 少しづつ

壁につぶやき続ける女 終電あとのホーム (※)

自責自責で季節すら見失う

徐行する通過列車の車窓に 亡くした友の顔 ぼんやり (※)

しぼり出しても 何もない一日

失ったもの あの言葉とあの声

誰が手を引く 独り寝の布団 (※)

「出たばかりのトイレの戸を引いて閉める手が 細い」 (※)

酒量増しても埋まらない 喪失の時期

今日などは 風呂の意味がしみじみわかる

見晴らしのいい場所で、日が沈む

轢死のあった踏切を渡る、夕暮れ前。

追い風が冷たすぎて 冬を心底憎悪

酔って 雨と雪と

幸せは 布団の中で聴く雨音

純米酒トロリ 思い出す事チクリ

「膝の仕掛けがオカシクなった」と老母がつぶやく

冬の雨の悪意 相手にせずズンズン歩こう

また酒 オシマイへの速度を 加速

月 雲 煙草 昔の女

酔って 月を見る

老いた母が履く スニーカー

言葉の意味を 言葉で考える 午前0時

生きていればいいことが 実感した九段下の夜が遠い

整骨院で聞く カーテン越しの世間話

指押し込む整体師の声 快活

雲と暮れなずみの隙間にオリオン

母が縮んで老婆

二月にはきっと厄災 くだらない思い

自由律という 心地よい束縛

「行きましょう」と手を引かれて戸惑う 夢

ヒトの言葉 好き嫌い

寝入る前の幸福の意味

野毛の猫も 逃げる

立ち飲み屋のホッピーに浮かぶ薄氷 ひとり

裏道ばかり歩く あいつを思い出す

ブルーハーツを聴きながら歩く 黄金町から日の出町

満天に星 まぶたのケイレン

 ※印は#オカルト自由律俳句

自由律俳句のタグがついたものを、ざっくりまとめてみました。
もしかしたら、誰かの返歌が混じっている場合や、ダブりがあるかもしれませんが、気が付かれたらご指摘ください。
476句、約2時間ぐらいの作業量でした。日付を削除してしまったのは、失敗だったかもしれませんね。
まぁ、こんな感じで、会員の皆様のものもまとめていきますね。
これから、改めて自分の句の変遷をたどってみたいと思います。
また、会員の皆様からの忌憚ないご意見をぜひぜひいただきたいと思います。

どうか、よろしくお願いいたします。

一行怪談(吉田悠軌著 津川智宏画)を読んで


「愛おしい団欒がある 廃屋の屋根裏」(吉田悠軌著 一行怪談 P25 を読んで)

「葬列に 取り囲まれて 懐かしい風」(吉田悠軌著 一行怪談 P32を読んで)

「そのわけ語る母の顔 能面」(吉田悠軌著 一行怪談 P18を読んで)

「神籤に 見透かされている 私」(吉田悠軌著 一行怪談 P62 を読んで)

「いっそすべてを 見抜かれたいほどの 月光」(吉田悠軌著 一行怪談 P56を読んで)

「我が子 愛おしくて 我が子 美味しくて」(吉田悠軌著 津川智宏画 一行怪談 P53挿絵 を見て)

「夏の前には またあの女を消す」(吉田悠軌著 一行怪談 P20 を読んで)

「あれが あの女達の 『お帰りなさい』」(吉田悠軌著 津川智宏画 一行怪談 P43挿絵を見て)

「まるくまるい 祖母は あの時のまま」(吉田悠軌著 津川智宏画 一行怪談 P33挿絵 を見て)

「亡くした子に会うには 海と空ともうひとつ」(吉田悠軌著 一行怪談 P36 を読んで)

「亡くした友の 往くへを想う この季節」 (吉田悠軌著 一行怪談 P42 を読んで)

「魅せられた踏切に背を向けて 夜明け」 (吉田悠軌著 一行怪談 P9 を読んで)

ご購入はこちらで!
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